「ワープロ」とは「ワードプロセッサー(word processor)」の略で「言葉(word)」を「加工する(process)」、つまり文章の作成や編集ができるものということになります。
1980年代、パソコンが普及する以前に「ワープロ」といえば、それは「日本語ワープロ専用機」のことでした。
日本語変換能力を持ち、文章入力、編集、データ保存ができ、ほとんどの機種が印刷機能を内蔵して、1台ですべてできるのが特徴でした。
◆ 日本語ワードプロセッサー 誕生と発展の歴史
(コンピュータ博物館)
ワープロに特化したことで購入しやすく、購入後も操作が覚えやすく、起動も簡単だったこともあり、年間生産台数が100万台を超えるヒット商品となりました。
さらに低価格化、高機能化が進む中、1980年末にピーク時には年間出荷台数が270万台に達しました。
当時は十分に存在価値がありましたが、メーカー各社の独自規格だったため、保存したデータは他のメーカーと互換性がなく、インクリボンなども別々でした。
さらにネットワークでつなげたり、データ共有するという点はまったく考慮されていませんでした。
そのため、パソコンの低価格化とパソコン用ワープロソフトの進歩と共に1990年代に入ってから販売台数が減少、さらにインターネットが普及したことで完全にその使命を終えました。
一方、1980年代前半から日本市場を制したパソコンが「NEC PC-9800シリーズ(NEC98)」であり、その NEC98 向けに 1985年、登場した日本語ワープロソフトがジャストシステム社の「一太郎」でした。
ところが1990年代半ば、ウインドウズの普及とIBM互換機と呼ばれる安価なパソコンの登場で、日本語ワープロでもマイクロソフト社の「ワード(Microsoft Word)」が強力なライバルとなりました。
特にワード、エクセルをウインドウズを搭載したパソコンに最初からインストールした状態で販売するバンドル手法もあって、1990年代の終わりには「ワード」のひとり勝ち状態となり、現在に至っています。
いまでも日本語変換能力に優れている「一太郎」を愛用している人はいますが、特にビジネス利用では「ワード」がいわゆる「デファクトスタンダード(事実上の標準)」となり、簡単には揺るぎません。
ただ「日本語ワープロソフト」としては、もう必要と思われる機能はすでに出尽くした感があり、これ以上の機能追加も期待できないため、これからの「ワープロ」はどうなっていくのか気になるところです。
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