無料のウイルススキャンサービスでウイルスが検出されました。パソコンがウイルスに感染していると表示されたのに、そのあとウイルス対策ソフトを使っても検出や駆除ができません。
いろいろなケースがあります。まずは「ウイルスが検出される」というのと「パソコンがウイルスに感染している」というのは、まったく意味が違うことを覚えておいてください。
無料でウイルススキャン(ウイルス検査)ができます!という『サービス』を大手のウイルス対策ソフト会社が競うように提供しています。
◆ ウイルスバスター オンラインスキャン
http://www.trendmicro.co.jp/hcall/index.asp
◆ シマンテック・セキュリティチェック
http://www.symantec.com/region/jp/securitycheck/
◆ マカフィー フリースキャン
http://www.nai.com/japan/mcafee/home/freescan.asp
もちろん、それ自体は素晴らしいことで、有効に活用すればいいのですが、ウイルスが検出された場合でも駆除機能はありませんので、駆除するには「有償版のソフト」を買う必要があります。
では、検出された「ウイルス」は、有償版のソフトを買えば駆除できるのか、といえば駆除できない場合も多いのが事実です。
たとえば、ある無料スキャンサービスを試してみたのですが、最近では毎日、何通も届く『ウイルスに感染したファイルが添付されたメール』もすべて「ウイルス」として検出してくれます。
※ 実際、私のパソコンで試すと 3000以上のファイルがウイルス
として検出されました。すべてメールファイルで、すでにごみ箱
に捨てたものも多く、二度と開くはずもないファイルです。
基本的に、『ウイルスに感染したファイルが添付されたメール』は、メールソフトを使って、そのメールから添付ファイルを取り出し、そのファイルを開く作業をしない限り、ウイルスとして機能しません。
つまり「ウイルスを検出!」と表示されても、『パソコンがウイルスに感染している』わけでも、『放置しておくと感染の危険性が高い』わけでもなく、駆除する必要がないファイルの場合 もある、ということです。 |
そのようなファイルも含めて検出し、『あなたのパソコンは、ウイルスに感染しています。すぐ(有償版のソフトを買って)削除してください!』と表示をする場合もある、というのが無料ウイルススキャンの実態です。
※ あるサービスではスキャン終了後「ウイルスの状態: 感染!」
と赤文字で表示され「いますぐ購入!」の画面が現われます。
ならば有償版を買えば「駆除可能」か、といえば『いいえ』の場合(ファイルごと削除するしかない場合)が多いのです。
たとえば『ウイルス感染ファイルが添付されたメール』は該当するファイルを削除すればいいだけで、ウイルスを駆除することはできません。
とすれば、ウイルス対策ソフトを買わなくても、メールソフトで問題のファイルを完全に消去すればいいだけです。なによりも別に時間をかけて消去をしなくても、感染する恐れもほとんどないことはすでに説明しました。
つまり、本当ならきちんと以下のように説明すべきなのです。
ウイルスに感染したファイル、あるいは、その感染ファイルを
添付の形で含んだメールファイルや圧縮ファイル、一時保存
ファイルなどが、検査したパソコン内に存在します。
ただし、これはファイルが見つかったというだけで、パソコン
がウイルス感染していることとは別です。
パソコンには感染しない状態で、パソコン内に保存されている
だけという場合もありますので、「検出」されても「感染した!」
と慌てないでください。削除すれば解決する場合もあります。
これが本当の『サービス』といえるでしょう。もちろん、実際にパソコンがウイルスに感染している場合もありますから、何も対策していない方がウイルス対策ソフトを導入すること自体は、強くお勧めします。
◆◇◆
何を「ウイルス」と定義するかは、各ウイルス対策ソフト会社が独自に決めています。たとえ「感染力」や「破壊力」がなくても、悪質なものでなくても、会社によっては「ウイルス」と定義している場合があります。
※ スパイウエア(アドウエア)についても、トロイの木馬型の
「ウイルス」と定義する会社もあり、各社でバラバラです。
ですから、「○○のウイルスチェックは、××のものよりも、△△個、多くのウイルスが検出できた」という比較はあまり意味がなく、検出数が多いことや、他社では見つからない「ウイルス」を「この会社だけは検出ができる」ことが優れたソフトの条件ではないのは明らかです。
大切なのは『いかに危険なウイルスに迅速に対応し、検出・駆除できるワクチンを提供しているか』ということです。そして、それは実力あるウイルス対策ソフトであれば、それほど大きな差はありません。
もちろんネット利用者の最低限のマナーとして、ウイルス対策ソフトを利用することは強くお勧めします。そして、その場合、無料ウイルスチェックを提供できるほどの実力がある会社のソフトであれば、どれもウイルス対策には充分な機能を持っています。
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